これは普通の果物のメルカートこちらに来てからというもの、当たり前だがすべてがイタリア語。テレビもラジオも雑誌も、何もかもがスグには理解が不可能だ。どこに行っても、何をするにも、はじめてだととまどってしまう。
バスのキップと同じように(「1-10 ビリエット」参照)、スーペルメルカート(スーパーマーケット)では、そのシステムの違いもさることながら、もっと大きな問題が立ちはだかった!
シャンプーが欲しいのに、どれがシャンプーかわからない!!
姿・形は日本のそれと変わらないし、置いてあるコーナーや順番もそう大差はない。
けれど、いったいドコまでがシャンプーでドコまでがボディーシャンプーか。そして、ドコから化粧品のコーナーか読めないから区別がつかないのだ。
「これは辞書を引くしかない、けど、やっぱりちょっとカッコわるいなぁ。」
そんなことを考えながら、一応、万引きと間違われないようにゆっくりと左右を確認。おもむろに辞書を取り出して、まず目を付けた商品に書いてある、「Schiuma(スキューマ)」を調べてみる。
「なにぃ、”泡”!? それじゃぁ区別がつかないよ。よっしゃ、次!」
ココで気がついた。
「こっ、これはティモテ!」
ボクの頭の中に草原が広がって、金髪の女性が桶で例のポーズで髪を洗い始めた。
「これって絶対シャンプーだ!」
そこで、ようやく見る気もしない細かい字で書いてある部分をチェックすると、「Caperri(カペッリ:髪)」の文字が読みとれる。「Balsamo(バルサモ)」とはどうやらリンスのことのようだし間違いない。
それでも会計の前に聞いてみた。
「これが、髪を洗うやつ、こっちが体を洗うやつ、そうだよね?」
すると、おねえちゃん、ニヤッと笑って
「そうよ。」
そりゃあ、仁王立ちで食い入るように商品見てりゃ、目立つわな。ちぇっ。
(20/08/'98)
ホントはこの景色の見えるミケランジェロ広場近くのハズだった!とりあえず、イタリアに来てから最大のピーンチ!って状況なんだけど、思わず鼻で笑ってしまった。
最初のホームステイ先、ZOTTI(ゾッティ)ファミリーは最高に居心地が良かったけれど、学校まで遠いのと、他の学生とのシェアにすれば経済的にも助かるので、知り合いの紹介で9月からは引っ越すことに決めていた。それが直前になってダメになってしまったのだ。
家のことではみんな苦労した話を聞いていたし、こころのどこかで予感があったのかもしれない。
そこの大家さんはイタリア人にしてはしっかりした人と聞いていたけど、”うっかり”電話するのを忘れてしまったためにそうなった。確かにいい人なのはよくわかったけど、だからかな?日本にいた頃のボクなら、怒り大爆発ってところだ。
こんなハプニングでも鼻で笑って済んだあたり、ラテンの血が流れたはじめたってことかな!?
後日談:
この出来事から2週間、探し回ったあげくにようやく落ち着くことが出来たのでした。
家の事がかたづいたと思ったら、ホッとしたせいか、病気をして1週間学校に行けないハプニングもあったりして、慣れない環境ってホントに大変だと思い知らされました。病院に行ったって話が通じるレベルではないわけだし。
実を言うと9月は僕にとってかなりつらく、大変なひと月となってしまったわけですが、それでも帰りたいとホームシックになったりしなかったあたり、結構図太く生きてる証拠かも!?
そして1番は、そんな時に支えてくれた友人達に大感謝!!Grazie mille!!
(29/08/'98)
同じ機械でもバールマンによって味が違うのはなぜ!?「Buongiorno !(ブォンジョルノ:おはよう)」
イタリアの朝はこの一言からはじまる。
平均的に、食料品を扱う店やスーパーなどが8時頃、その他の店や学校、会社が9時頃から始まる。
人や車、モトリーノ(スクーター)などがせわしなく行き交って、そしてツーリストがチェントロにくりだす時間帯でもあるからドゥオモ前など主要な観光スポット、は朝から行列が出来ている。
それに、メルカート(市場)は午前中だけのところもあるから、朝のこの時間にはたくさんの人でにぎわっている。
朝食はカプチーノやカフェ(エスプレッソ)か、それにジャムをつけたパンやブリオッシュなどをちょっとつまむ程度。基本的にあまり食べないから、朝から卵焼きなどを食べるなんて信じられないそうだ。
パニーノ・アル・ランプレドット(牛モツのパニーノ)「Buonasera !(ブォナセーラ:こんにちは~こんばんわ)」
昼食が終わるあたりからこの挨拶に変わる。
1時から2時が標準のお昼休み。だから、来たばっかりの日本人はとってもおなかがすいてしまう。
会社で働いている人でも、家が近いと一度昼食のためにもどることも多い。そうでない場合に、ポピュラーなものの1つが”パニーノ”。いわゆるサンドイッチだけど、ちょっとかたい、丸いパンを半分に切ってプロシュット(生ハム)、トマトとモッツァレラチーズなど、いろんな種類をバールでパクつく。
フィレンツェの名物のひとつに牛のモツ料理があるが、これのパニーノ版”ランプレドットのパニーノ”は、ちょっとした広場で専門の屋台を目にすることができる。これがボクのオススメ!
ビシッとネクタイをしめたビジネスマンも買い物帰りのおばちゃんも、ちょっとずつしか作らない(もちろん注文をうけてから)要領が悪いともいえるその調理の様子をのんびりと待っている。
テラスにテーブルセッティング夕食の始まる時間は、8時以降で、ゆっくり時間をかけてとる。夏の気候の良いときなどはテラスでそのまま2・3時間もおしゃべりが続くことがあるから、最初の頃のボクにとってはいつも伊・和、和・伊辞典をテーブルのそばに置いて食べるという、学校の授業よりもよっぽどハードな時間だった。
それでも、ジュリアナ(最初のホームステイ先、ZOTTI夫人:1-4 参照)はとても料理が上手だったから、いろいろなトスカーナ料理が楽しめたし、プリモ(1皿:パスタ、リゾットなど)、セコンド(2皿:フィレンツェは肉料理中心)、コントルノ(付け合わせ:サラダなど)、デザートとちゃんと順序もある家だったから、マナーもイタリア式の気取らないものだが、やってはいけないことくらいは教えてくれた。
夕食は急いで食べても1時間弱はかかるが、ヨーロッパ人はそれからどんどん遊びに出かける。遊ぶ予定があるのにちゃんと家で食べてから出かけるのがかわいらしいし、フランチェスカ(ZOTTI夫妻の3番目の娘)は働いているのに夜中まで遊んで来るから、朝はいつも眠そうだった。あれで午前中に仕事になるのかな?
フィレンツェは海に面していないから、あまり魚介類は使わず、その分肉料理でモツも使ったりするそうだ。そして、保存をきかせる目的もあって塩味がとてもきつい。料理がきつい分、パンには塩分がなくかたい。料理が肉料理中心だからか、ヴィーノ(ワイン)もロッソ(赤)をよく飲む。
昔はタコを食べなかったらしく、売っているところもあるくせに、「あんなの食べるなんて信じられない」とのたまう。
ある友人がやった意地悪。
「私はうまが好きよ。うちの牧場には私の馬もいるの。」
「僕もうまは大好きだよ。刺身で食べたら最高だったよ!」
いつも自慢屋で周りをイライラさせる彼女も、さすがに泣きました。
(12/09/'98)
うまく話せないけどみんな仲良し「ハーックション!!」
大魔王でも登場しそうなでっかいやつでも、
「クチュン」
小リスちゃんがしそうなちっちゃいやつでも、
くしゃみが聞こえると、すかさず聞くことのできる言葉がある。
「Salute! (サルーテ:お大事に)」
言われた方は、
「Grazie.(グラツィエ:ありがとう)」
と返す。
語学の授業を受けているクラスでは、どんな状況でも他の全員が一斉にこれを言ってしまう。
どんなに大事な説明の時でも、議論が白熱していても、先生までも。
しかもとっても息が合っていて、言うタイミングがピッタリだ。
してしまった方は、さすがに全員に言われると、ちょっぴり「すんません」って気持ちになる。
決まった形式をしっかり守るあたりがドイツ人の特徴なのか、同じクラスのマーティンが、隣のクラスの先生のでかいくしゃみが聞こえても、「サルーテ」とつぶやいているのをボクは知っている。
(22/09/'98)
いつもこのレプッブリカ広場の本屋の前で、時間と場所をチェック!「グス、ズ・ズ・ズ。」
一生懸命、気が付かれないようにしてるけど、バレちゃってるだろうな。
ボクは結構、テレビや映画の劇中にはまりやすいタイプなので、感動してください・泣いてくださいシーンでは、素直に泣けてしまう。
だから、映画館で見るのはなんだか気恥ずかしく思っていたけど、仲のいい連中にもやっぱり、男子は大泣き、女子はケロリとしてる映画好きのカップルがいて、いまはそれくらい素直な方がいいやと思えるようになった。
まあ、それでもちょっと遠慮してるわけだけど、この泣けているのはちょっとうれしい事実でもある。
なぜなら、イタリアはテレビも映画もみな、イタリア語に吹き替えられていて、今見ているこれもそうなのだ!
たまに、今まさに習っている最中の文法が出てきたりして、
「えーっと・・・」
なんて考えているうちに、話が進んでしまうこともある。
後ろでおばちゃんが大笑いしているのにボクらだけ
「?」
ポカンとしてることもある。
それでも、ちゃんと話の筋はわかったし、クライマックスで大感動ぉ~!!!
これに気を良くして、テレビを理解して見る気にもなれたし、また他のも見てみようと思っている。
映画館のサイズは小さくてもシートもきれいでちゃんとしているし、何より、平日の昼間はどの映画も8.000リラ(約700円弱)だしね。
(29/09/'98)