ミラノ編 06-10 of オイラ陽気なイタロ・ジャッポネーゼ

2-6 9人の合宿状態!?  

02-06.jpeg丘の街、ベルガモにて新年があけてミラノに戻り、学生アパートに移った。
事情があって、もともと2月末には移らなくては行けなかったのだが、ここミラノでの家探しはやはり難しく、早くから探しておこうと思い、手を打っていた中でちょっと興味を引かれる物件があって、今回をはずすとまたいつ空くかわからないので早々の転居を決めたのだ。

デザイン学校に通う学生が6人、働いているのが1人、そしてボクと同じ語学学校に通っているのが1人と合計9人の生活。
国籍もスウェーデン、ドイツ、クロアチア、日本とさまざまだ。
決め手は見に来たときのこの連中がとても印象がよかったことで、デザイン学校でもインテリアやグラフィックを学んでいるのも興味を引かれた。
さすがに人数が多いから、何かしら問題が起こることはあるだろうが、どうしてもダメならまた移ればいいやと思っているし、それ以上にいいつきあいが出来ることを期待している。

今回もまた自炊で、そのための道具や皿などは備え付けてあるのが普通だ。
お茶を飲もうと沸かしていたときのこと、用意していたグラスを見て、
「よしよし、ちゃんと活用されているわね」
とジョアンナ。
「みんなもちゃんと使ってる?」
とヨナスが答えるから聞いてみた。
「このグラスは君たちが買ったの?」
すると・・・、

「フフフ、このグラスちょっとステキでしょう。だからバールから持って帰って来ちゃったのよ。
私たちはデザインを勉強しているから、元々のこんなダサイのよりかっこいい方がいいもんね。」
ウインクと共にちょっと自慢げにのたまう。

おそれいりました。

(08/01/'99)

不思議なもので、つい先日、SNS を通じてここに登場するジョアンナと10年のブランクの後、連絡を取り合いました。
ボストンや他の地で過ごした後、今は地元で2人の子供のお母さんでもある彼女は、一見お通りしていそうで実は活動的であるのは変わらずの様子。
あまり SNS を活用していないボクも、こういう再開があるのは本当に嬉しく思います。

2011年3月 ミラノ

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2-7 ブォナ・フォルトゥーナ!  

02-07.jpegみぎをみて、ひだりをみてこれは恋にも似ている。

イタリアに来てからでも、ときどきはこれでホントによかったのかと悩んでしまうことがある。
特に時間的には思い通りにならないことばかりで、先のことがなかなか見通せないからだ。
そういうときに愚痴ったり一緒に騒いでストレスを発散できる友人がいるのは幸せなことで、イタリアでは年齢も職種も違う仲間ができたから、それまで知らなかったり、興味をもたなかった分野の面白さも知ることができるのもうれしい。
そういう素敵な出会いに恵まれているから、最終的にはイタリアに来たのが正しい選択だったんだと思うことが出来る。

日本にいたときからだが、自分が同じところにいても、周りの環境の方が変わっていくことがわかっているから、ひらめいたときにはあまり躊躇なく移動してきた。そこから離れることを寂しい気持ちも大きいのは、仲のいい連中とまた会う機会はあっても一緒に過ごす無駄な時間がなくなってしまうからで、それは本当に残念に思う。
だけど、バースデーに苦手な英語を駆使して日本から電話をくれたり、メールでずっと応援してくれている連中もいるから、なかなかボクもすてたもんじゃない!?

仲間の1人の帰国が決まった。気の置けない奴だったから短い期間だったけどいいつきあいができた。
こういうときのちょっと寂しい気持ちは、恋に似てる。そんな気がする。

Buona fortuna !
Tanti cari saluti.

(17/01/'99)

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2-8 伊太利の恋人  

02-08.jpeg休日のおそい朝ボクがミラノに来てから知り合ったイタリア人男性にはみんな外国人の恋人がいる。
たとえばクラスメートなど、近辺ヨーロッパからイタリア語の勉強に来ている女性には、イタリア人の恋人がいる。
なんでだろう・・・?

こんな話を聞いたことはある。
イタリア人女性というのはすごく気まぐれで、どこかに行こうと誘ってもスグにはうんといわない。
じらすのがいいと思っているからよ、とは友人の談。
男性側が全部おごらなきゃいけないし、大変よぉ。
いやいや、今のところそういう予定はございません。

それに、イタリア人男性はとてもストレートだ。
ちょっときれいな女性を見かけると、「Che bella !」(ケ・ベッラ:なんてきれいなんだろう)なんて事を臆面もなく口に出して言うし、とてもほめ上手だともいえる。

それらのことが理由かどうかはわからないけど、陸続きで行き来もしやすいせいかハーフの人はとても多いし、両親はイタリア人だけど自分は生まれも育ちも国籍もフランスとか、そういうケースも良く聞く。
考えてみれば、ここミラノからでも電車で1時間ちょっとでスイスに出れてしまうくらいだから、ちっとも特別なことではない。日本人の感覚だからこういうことに違和感があったんだろうと思う。

そういえば、最初に友達になったアレックスだって、日本生まれ日本育ちのフランス人だったから、英語・フランス語はもちろんのこと、あんまりにもフツーの日本語をしゃべるからびっくりしたんだっけ。

(26/01/'99)

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2-9 だんだんミラノが好きになる  

02-09.jpeg最初の頃、特に12月はとってもミラノがキライだった。
なんだか街も人も冷たい印象がするし、クラスの人数が少ないのは勉強にはいいけど、特に授業が終わったらすぐ帰ってしまう人たちだったせいもあって友達がとても出来にくい状況だった。
これはミラノに住むイタリア人も言うことで、彼らでも友人は出来にくいんだそうだ。

年があけて、状況が少しずつ変わってきたせいか、その印象も違ったものになってきた。
まずは、こちらの人は基本的には親切で、日本人(アジア人)だからといって距離をおいた接し方をしない人が多い。
たとえば通りすがりの人に何かものを尋ねてもとても丁寧な対応だし、自分がわからなければ他の人に確かめてくれる人もいる。
イタリア人はわからない場合でも自信を持っていい加減な返事をする、というのを実体験をもって信じていたから、違う人が沢山いて正直ホッとする。

もうひとつの大きな変化は学校の仲間。1月中からスタートしたクラスでボクにとってはかなりレベルが高く、皆が話し始めると話の主旨をつかむのも大変なくらいで、クラスの変更を相談したほどだったのだが、先生を始め皆の助けもあって楽しんで授業を受けることができる。
クラスの雰囲気がとてもいいのも頑張る気になれている理由のひとつだろう。

この雰囲気が出来たのはそれを引っ張った2人のアルジェンティーニ(アルゼンチン人)のおかげだ。
1人はアンドレア、元々ジャーナリストの仕事をしていて、イタリア人の恋人の元にやってきてこちらで仕事を探している。つっこみも激しいけれど、いい発言をうまく評価して盛り上げるいい姉貴分だ。

そして一番は我らがマスコットボーイ、フランチェスコ!
彼はホントに喋るのが好きだ。それも自分の話を!
テーマはほとんど恋にまつわる話が多いが、なぜだかオチのついた思わず吹き出してしまう話が多い。
本人はちっともそう思っていないようで、みんなに大笑いされて照れて赤くなっているカワイイところもある。
自伝を出せばバカ売れするから書けとみんなですすめているところなんだけど、ホントに年上とは思えないほどお茶目なヤツなのだ。

こんな風に少しずつ楽しく話せるようになってきたのは、ボクのイタリア語の進歩だと思っていいのかな!?

(04/02/'99)

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2-10 ウサギのきもち  

02-010a.jpeg青空市場イタリアの野菜は味が濃い。
いったい何が違ってこうなるんだろう。
太陽、水、土地・・・。ぜんぶかもしれない。
特にメルカート(市場)なんかに並んでいるものは、不格好だけど生命力がみなぎっている感じがする。

最近のボクの流行りはブロッコリー。
とにかくどのパスタを使うときでも、茹でるとき最後の2分ほど一緒に放り込めばいい手軽さがいいのかも。
芯の部分だってなかなかごちそうで、太いヤツはそこだけ使ったっていい。



02-010c.gifでも、ホントはもっと気に入ってるものがある。それはルーコラ!(ヨーロッパ産のサラダ用野菜)
ちょっと苦い味のするこれがなんだか妙に好きで、調理中も横に置いて何もつけずにパリパリつまみ食い。
かっぱえびせん状態なのだ。
それを見た、ヨナス。プッとわらって、
「HIROSHI、それじゃあまるでウサギだね。」

(10/02/'99)

このルーコラつまみぐいは、今でもやります。

2011年3月 ミラノ

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